2022年6月11日 ジクサー150に合うオイルを探す旅
2022-06-11最終更新日 2022-06-11 by motokobi
新型ジクサー150(ED13N)の「その後の「オイルが減ったかも」疑惑」記事でいままで好んで使っていたMOTUL 7100 4Tだとオイルが減る現象が出るようなのでオイル探しの旅に出ました。
オイル沼
きっかけの記事はこちら。
そしてどうも銘柄によってオイルが減っているのでは?という可能性にたどり着いた記事がこちら。
というワケでオイル探しの旅です。
目次
はじめに
まず最初にお断りです。
ここでは素人的に主にオイルの動粘度をネタにしてオイルを選んでみています。このような方法がありなのかどうかは分かりません。こんなことしてる人もいるのだなぁと思って見ていただけると幸いです。
また、参照しているデータシートの一部は海外にあったものです。日本向けのオイルがこのデータと同一かどうかは未確認です。
取り上げているオイルはどれもお馴染みのメーカーがバイク用として製造・販売しているものです。オイルが減るのはたまたまわたしのジクサーちゃんに起きているもので一般化できるものではありませんので、こちらの内容もへぇ情報程度で見て頂ければと思います。
それから…それぞれオイルメーカーについてのお好みもあると思います。ちなみにわたしは恐らくMOTUL教です。そのようなコビトが書いたものとしてお楽しみください。
慎重
純正オイル
取扱説明書に記載されている純正オイルの確認をしてみます。49ページに推奨オイルが載っていました。
SAE | JASO | 成分 | |
松)エクスターR9000 MA2 | 10W-40 | MA2 | 化学合成 |
竹)エクスターR7000 MA2 | 10W-40 | MA2 | 部分合成 |
梅)エクスターR5000 MA2 | 10W-40 | MA2 | 鉱物油 |
エクスターの構成は松竹梅
ネットで調べてみましたが仕様は分かりませんでした。
間違いのない純正オイル。規格はMA2。その他の細かい仕様は不明
交換頻度は3,000km毎または1年毎でした。
Team SUZUKI ECSTARでMotoGP参戦中。来季はどうなる?
MOTULで仕様を比較
次に、現在使っていることもあり個人的には製品構成も少しは分かっているMOTULの中でオイルの仕様を比較してみます。
仕様の比較
3100 GOLD 4T | 5100 4T | 7100 4T | 300V FACTORY LINE | |
粘度 | 10W-40 | 10W-40 | 10W-40 | 10W-40 |
密度@20度 | 0.861 | 0.865 | 0.859 | 0.852 |
動粘度@40度 | 98.0 mm2/s | 87.6 mm2/s | 88.8 mm2/s | 82.1 mm2/s |
動粘度@100度 | 14.3 mm2/s | 13.8 mm2/s | 13.5 mm2/s | 13.1 mm2/s |
粘度指数 | 151.0 | 161.0 | 154.0 | 160.0 |
流動点 | -33.0 *C | -33.0 *C | -33.0 *C | -36.0 *C |
引火点 | 230.0 *C | 226.0 *C | 236.0 *C | 250.0 *C |
清浄性(TBN) | 6.1 mg KOH/g | 7.5 mg KOH/g | 8.4 mg KOH/g | 8.3 mg KOH/g |
API | SL | SM | SN | 規格以上 |
JASO | MA | MA2 | MA2 | – |
成分 | 部分合成 | 部分合成 | 100%化学合成 | 100%化学合成 |
データシート | datasheet | datasheet | datasheet | datasheet |
※ 部分合成 = TECHNOSYNTHESE
個人的には製品構成が分かっていて仕様も確認出来るところが良い点。名前の数字が上がる程高性能(松竹梅)、300Vはレースカテゴリー。推奨のエクスターと同じMA2もラインナップされている
10W-40でみるとTBN以外は数値的には大きく違うものは無いようです。TBNがオイルの減り現象に影響するのかどうか分かりません。その他の違いで見ると3100のみ動粘度@40度が少しだけ高いような気もします。 ちなみに、粘度違いで 300V 15W-50 では動粘度@40度は117mm2/sでした。
スペックからでは7100が減る理由はさすがに素人なので分かりません。
企画倒れ?
オイルが減る時は硬めのオイルに変更というのは昔からありますね。
古墳時代からの知恵
無理矢理仕様の数値の違いを挙げるとすると、減りが起きていない3100は動粘度@40度が少し高いこととTBNが少し低いこと
価格の比較
MOTULも松竹梅で分かりやすいです。
MOTULで7100 4T以外となると 5100 4Tのみ。ただ仕様的には期待薄かも知れませんが、タイプが 3100 4T と同じ TECHNOSYNTHESE ということろに期待が持てるかも知れまん。
Castrol、WAKO’Sの動粘度
有名どころでジクサー150で少しジムカーナみたいなこともしますよな感じの使い方で合いそうな銘柄で仕様が分かるものを見てみました。
仕様の比較
10W-40 | 動粘度 @40度 | 動粘度 @100度 | JASO | 成分 | データシート |
WAKO’S PRO-S | 89.54 | 13.75 | MA | 化学合成 | datasheet |
WAKO’S TR(トリプルR) | 84.9 | 13.7 | MA | 化学合成 | datasheet |
Castrol POWER1 Ultimate | 93.5 | 14.6 | MA | 化学合成 | datasheet |
Castrol POWER1 4T | 66.0 | 13.5 | MA | 部分合成 | datasheet |
Castrol POEWR1 4T だけ動粘度@40度が違う印象がします。
WAKO’S、Castrolの候補は全てMA
価格の比較
値段を見てみると…
MOTUL以外そもそも製品の構成を知らないので正しい選択なのか全然分かりません。
むむ…よく分かりませんが、WAKO’S PRO-S、TR 辺りは試してみたいかも?
なんといっても WAKO’S には 4CR という最高級オイルがあります。
WAKO’S最高峰オイル
泣く子も黙る4CR!
WAKO’S最高峰4CR4千円オーバー
ジクサーちゃんには高級すぎかも…
Shell
ShellオイルというとF1世代としては気になる存在です。Shell のバイクオイルはツーリング系のAX5、AX7、スポーツ系のULTRAとこちらもわかりやすい松竹梅です。
また、ULTRA は天然ガスから製造される不純物を含まないベースオイルのAPIグループ3なGTLが特徴とのこと。AX7にも一部配合されているのではないかと思います。
仕様の比較
Shell ADVANCE 4T 10W-40 | 動粘度 @40度 | 動粘度 @100度 | TBN | API | JASO | 成分 | |
AX5 | 99.05 | 14.71 | SL | MA | 鉱物 | 仕様 | |
AX7 | 100.6 | 14.33 | 6.24 | SM | MA2 | 部分合成 | 仕様 |
ULTRA | 92.6 | 14.44 | 10.3 | SN | MA2 | 化学合成 | 仕様 |
関係してくるのか分かりませんが、Shell ADVANCE 4T の動粘度@40度がオイル減りが起きていない MOTUL 3100 GOLD 4T と似た値のようです。
(TBNはネットで拾ってきた値でメーカー公表値の確認はできていません)
Shell AX7 は動粘度@40度はもTBNもMOTUL 3100と似ています。
AX7 は動粘度、MA2 ともに条件に合致?
もしかして第一候補?
「耐蒸発性に優れており、オイル消費が低く補油の頻度を抑えます」の売り文句までついてます…
渡りに船
価格の比較
Shell ADVANCE 4T AX7 は気になる存在です。
F1でお馴染みのShellオイル。ADVANCE AX7 は粘度特性があっているかも知れないので気なる存在
REPSOL
モータースポーツ界でも有名なレプソルもメーカーさんの公開データがしっかりしています。
残念ながら個人的には使用したことがないのでデータのみということで。
MOTO Rider | MOTO Sport | MOTO SINTETICO | MOTO RACING | |
粘度 | 10W-40 | 10W-40 | 10W-40 | 10W-40 |
密度@15度 | 0.872 | 0.867 | 0.854 | 0.855 |
動粘度@40度 | 95 mm2/s | 97 mm2/s | 89 mm2/s | 94.0mm2/s |
動粘度@100度 | 14.4 mm2/s | 14.5 mm2/s | 14.1 mm2/s | 14.5mm2/s |
粘度指数 | 155 | 156 | 160 | 160 |
流動点 | -36 *C | -36 *C | -33.0 *C | -39.0 *C |
引火点 | 234 *C | 232 *C | 244 *C | 236 *C |
清浄性(TBN) | 7.8 mg KOH/g | 7.8 mg KOH/g | 7.7 mg KOH/g | 7.5 mg KOH/g |
API | SL | SL | SN | SN |
JASO | MA & MA2 | MA & MA2 | MA & MA2 | MA2 |
成分 | 鉱物 | 部分合成 | 100%化学合成 | 100%化学合成 |
データシート | datasheet | datasheet | datasheet | datasheet |
参考価格 | 1,600円 | 2,200円弱 | 2,300円 | 2,400円 |
JASO の MA, MA2 の違いってなんだろう?
マニュアルクラッチ付きバイクのエンジンオイルは JASO MA 規格のオイルから選ぶ必要があります
少し話は戻りますが、実は MA より MA2 の方が高性能と勘違いしていました。この規格はなんだろう?ということでまずは調べてみました。
JASO というのは「自動車技術会規格 = Japanese Automotive Standards Organization」という規格のようです。その中で MA, MA1, MA2 がそれぞれ定められていました。これによると、試験用のフリクションプレートとスチールプレートを使用し「クラッチ摩擦特性評価試験結果」等を届けるということのようです。
ざっくり解釈すると、クラッチ専用の試験をして結果が以下のようなものをMA,MA1,MA2として届けているようです。
また、MAとして届けるかMA2として届けるかは申請者が必要に応じて判断するとのことです。
MAなのかMA2なのかはマーケティング部門の戦略次第?
MA2だと仕様通りに製造するのにコストが余分にかかるかも知れません?
規格 | 動摩擦特性試験(DFI)/静摩擦特性試験(SFI)/制動時間指数(STI) | 例)DFI |
MA | クラッチ付きバイクにちょうど良い特性 | 1.35-2.50 |
MA1 | MA規格の中でも摩擦特性が真ん中より小さめのもの | 1.35-1.50 |
MA2 | MA規格の中でも摩擦特性が真ん中より大きめのもの | 1.50-2.50 |
[参考] 「二輪自動車-4サイクルガソリンエンジン油(JASO T903:2016)の規格利用マニュアル」(JASOエンジン油規格普及促進協議会)
ということは、取扱説明書で推奨オイルがMAであれば、MA, MA1, MA2のどのオイルを選んでも問題なく、推奨オイルがMA2であれば MA 規格の中でも摩擦特性が大きめな MA2 を選びましょうということのようです。
MA,MA1,MA2 はグレードの高さでは無い。取扱説明書でJASOの指定がある場合は基本その規格のものから選ぶ
ただ、MA1 と表示のあるオイルは見つけられず。
見つけたら激レア
再度取扱説明書を確認してみると、ジクサー150の推奨オイルはエクスターのMA2、エクスターが入手できない場合は API SGからSN、JASO MA(MA1,MA2)となっていました。
エクスターと同じMA2がよりお薦めなのか、特に関係なくMAならお薦めなのかは…分かりません。
APIのみで選ぶのはNG
API SG,SH,SJ,SL,SM,SNかつJASO MA(MA1,MA2)(取扱説明書P.49)
実は MOTUL 3100 GOLD 4T…
オイルの減り現象が起きていない MOTUL 3100 GOLD 4T ですが、特にタンデムをしていると発進直後の2速や3速、4速にシフトアップするところで少しクラッチのジャダーが出ることがあります。少しと言ってもラフに操作すると必ず出るので気をつけて操作していました。
なんともはやです…
3100はオイルの減り現象は起きていないもののずっとこれにするのもどうかなぁと思っています。
MOTUL 3100 GOLD 4T ば少しクラッチのジャダーが出るので合ってないのかも知れません
ちなみに、普段は3,000回転か回しても4,000回転、フロントスプロケットが16Tなので純正15Tだと2,800回転から3,800回転相当でシフトアップしています。気をつけてもっと回してからシフトアップするとジャダーは出ないようです。
トルクの無駄遣い
まとめ
まだまだ全然まとまりませんでした。
- 鉄板な純正推奨のエクスター
- 選択肢が多いけど少しクラッチのジャダーが心配かも?なMA規格のオイル
- ベースオイルが TECHNOSYNTHESE に期待がある MOTULE 5100 4T
- 仕様(動粘度やTBN)を比べることに意味があるのかどうか不明
- 全くタイプの違うベースオイルなところに期待が持てる Shell
なかなか難しいです。
いまのところの候補は、
銘柄 | 候補の理由 | コメント |
MOTUL 5100 4T | MOTULで MA2 | MOTULなら最有力候補 |
MOTUL 300V | MOTUL最高峰を試してみたいということで | 価格がネック |
Shell ADAVANCE AX7 | 動粘度@40度、TBNがオイル減りが起きていないMOTUL 3100と似ている | ダークホース |
です。
純正推奨にしとけば間違い無い
そこは趣味の世界。ちょっと違うものを使ってみたいというのが人のさが…
3100,7100が合ってないならそもそもMOTULとの相性疑惑
可能性は排除できません…その時はShell ADVANCE AX7。AX7はスペックからも期待してみたいです。
試してみないと分からない
今後、
- MOTUL 5100 4T
- Shell ADAVANCED 4T AX7
- MOTUL 300V
- エクスター R9000
の順に試していくと思います。
MOTUL 5100 4T にすべきか企画の趣旨から Shell ADVANCE 4T AX7にすべきか…データ取りのためには MOTUL 5100 4T は一度試しておきたい気も…
journey to the stars…
※ その後の結末ですがMOTUL 7100 4Tがメインのオイルになりました。
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